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家事調停委員を終えて~(その4)

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何故遺産分割調停には時間がかかるのか?

もちろん離婚調停などとの比較の問題です。離婚調停は、離婚を求める側が申し立てるのが通常であり、相手方が離婚する意思を全く示さない場合には、離婚の条件(慰謝料、財産分与、新件、養育費)などを話し合うことが困難であれば、2,3回の期日で調停不成立となり、離婚訴訟に移行してしまうことが少なくありません。

話は横道にそれますが、離婚訴訟は調停前置が要件とされていますので、調停成立の可能性が無い場合でも、形式的には調停を申し立てなければ訴訟が提起できないのが通常です。裁判所のモデル書式には「夫婦関係調整調停」と事件名が書かれてあり、その後ろに(  )があって、(離婚)と書くことがあります。

つまり、調停は当事者間の話し合いによる紛争の解決を目指した制度であることから、離婚を求めて申し立てても、話し合う中で「もう一度やり直してみよう」と合意して条件を定めて円満解決をすることや、同居を求めて円満調停を申し立てても、話し合う中でやっぱり無理だと悟って離婚の調停を成立させることも可能なのです。

優柔不断な調停のようですが、「夫婦関係調整調停」とはなかなか優れたネイミングです。「経済的な条件や子の養育に関する条件を合意して、しばらく冷静な時間を取りましょうとか、冷却期間を置きましょう」といった合意で調停を成立させることも可能なのではないでしょうか。

さて、本題の遺産分割調停に話を戻します。遺産分割調停が長期に及ぶ原因はいくつかあるように思われます。

離婚訴訟の場合は、当事者は妻と夫(申立人1名・相手方1名)ですが、ご存知のように、遺産分割は相続人全員の合意が必要ですから、相続人の数が当事者の数となります。

数代前の相続ともなれば、代襲相続とか数次相続(相続人の相続)があり、相続人の数が膨大になることがありますし、1代相続でも相続人が二人であることは稀で、配偶者と数人の子が相続人であることが多く、その数人が遺産の範囲や分割方法について対立したり、感情的に対立することはよくあるパターンです。

遺産分割調停では、この三つ巴、四つ巴?・・・・の対立を、法律の規定を踏まえ、法律の限界を踏まえて各当事者を説得し、意見を聴きつつ利害を調整してゆく過程が横たわっています。

第2に、遺産分割の調停が不調となった場合には、前提問題(相続人の範囲、遺言の有無・効力、遺産の範囲の争いなど)での争いが無い場合には審判に移行します。家庭裁判所での調停に於いては、審判を念頭に置いて、調停の中で確定できる事項の合意を一つずつ中間合意の形で調書を取ってゆきます。

遺産の範囲の合意が取れた場合には、不動産などその評価をしなければ分割方法(誰が、何を、どれだけ取得するか)が決められないため、評価についての合意を試みます。合意ができなければ、正式鑑定をすることになります。最後に、相続人の寄与分と特別受益の有無・範囲の合意を試みることになり、合意ができなければ調停不成立として審判移行となって調停がやっと終了となります。

従って、調停が成立にならないケースの場合でも、多数回の期日が重ねられます。私の経験でも、成立・不成立に関わらず、速くても半年、長ければ1年、2年掛かることが普通でした。

実は、弁護士調停委員の処理実績が低い原因はこのことにあります。(調停1件の作業の時間的負荷が重いのです)

続く

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