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DNA検査と親子関係の不存在(その1)

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今回は,私が少し前に受任した家事事件をベースにお話ししようと思います。

 結婚生活を送る夫婦の間に子どもが生まれ,子育てをしながら幸せな家庭を築いているというケースでお考えください。夫は,妻が産んだ子は当然自分の子だと信じていましたが,子どもが5,6歳くらいになって,ある日突然,妻から「この子はあなたの子じゃないの」と打ち明けられました。

 驚いた夫は,自分と子どものDNA検査を受けたところ,「父子確率0%」という検査結果が出てしまいました。

 このような時,あなたが夫の立場だったらどうしますか。

 血縁関係がなくても,何年も子育てをして愛情もわいているので,あくまで自分の子として育てたいと考えるかもしれません。

 他方で,血縁関係がないことが明らかならば,戸籍上の関係も正しく訂正したいと考えるのが世間一般の人情というべきかもしれません。
 私の依頼者である夫も,後者のお考えでした。

 そこで,父子関係を否認するための法的手続きについてご説明しますと,民法では,婚姻中の妻が子を妊娠した場合,その子は夫の子と推定されます。これを「嫡出の推定」といい,「嫡出の推定」が及ぶ子のことを「嫡出子」といいます。

 また,夫が,嫡出子との父子関係を否認するためには,子の出生を知った時から1年以内に,家庭裁判所に訴えを提起しなければならないとされています。これを「嫡出否認の訴え」といいます。

 1年という出訴期間が設けられていますので,夫が子の出生を知って何年も経ってからでは,「嫡出否認の訴え」を提起し父子関係を否認することはできません。

 ところで,父子関係を否認するための訴えとしては,「嫡出否認の訴え」のほかに,「親子関係不存在確認の訴え」という種類の訴訟もあります。この「親子関係不存在確認の訴え」には出訴期間の制限はありません。

 ただし,子が嫡出子の場合,「嫡出否認の訴え」によるのが原則です。裁判例上,嫡出子について「親子関係不存在確認の訴え」が認められるのは,例えば,妻が妊娠した時期に,夫が遠隔地に居住していたなど,夫婦が性的関係を持つ機会がなかったことが明らかであるなどの事情がある場合に限られています。

 そのため,こうした事情がない場合,「親子関係不存在確認の訴え」は認められず,「嫡出否認の訴え」の1年の出訴期間を過ぎると,父子関係を否認することはできなくなってしまいます。
(続く)

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