事務所便り

家事調停委員を終えて~(その3)

投稿日: 2018/8/7

 前回のコラムでは、私は24年間に家事調停委員として101件の調停事件に関わったと述べましたが、どの様な事件だったかを振り返ります。

 私は弁護士ですので、常に事件の受任や法律相談をするについて利益相反の有無をチェックする必要があります。利益相反とはならない場合でも、関連する事件に関与した場合には、将来の利益相反に発展する可能性を考えて事件受任や法律相談を回避するように努めています。

 家事調停委員を勤めた事件のメモ(「手控え」と呼ばれます)は、個人情報が記載されていますので、事件終了後に廃棄(溶解またはシュレッダー)の処理をしますが、当事者の氏名・事件の種類(遺産分割・離婚等)・結果(調停成立・不成立等)のメモは残して厳重に保管するようにしていました。

 このメモによると、101件の内、身分関係はわずかに4件しかありません。離婚事件は新任時に2件担当したに過ぎず、親子関係不存在が1件と認知・養育費が1件です。残りはすべて相続事件であり、内、遺留分減殺請求事件が10件、遺産分割後の紛争調整・遺産に関する紛争調停が合計6件あり、これを除く全ての事件は遺産分割調停です。この傾向は弁護士調停委員にしては通常のことです。

 東京家庭裁判所では、遺産分割調停の調停委員二人の内、必ず一人は弁護士調停委員、残りの一人が一般調停員が当てられ、逆に身分関係(離婚や離縁)調停委員の二人は一般調停委員が当てられて、弁護士調停委員は配点されないのが普通です。

 相続関係の処理には相続法(民法等)の細かい法的知識が必要であり、弁護士調停委員の数が一般調停委員に比べて少ないからだと聞いています。東京家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てた場合に、調停委員二人の内一人は必ず弁護士調停委員だと思って間違いないようです。東京家庭裁判所以外の裁判所ではどうなっているのかは知りません。

 因みに、東京家庭裁判所の現在の調停委員の人数は、本庁(霞が関)では一般調停委員366名、弁護士調停委員169名の合計535名だそうです。立川支部では一般調停委員と弁護士調停委員の合計で182名となっているようです。

目次 :
 |

家事調停委員を終えて~(その2)

投稿日: 2018/6/28

家事調停委員を勤めた24年間にどれだけの事件を担当したのかを振り返ってみました。

合計すると僅かに101件しかありませんでした。平均すると年間4件ほどですが、新任当初は常時1,2件の担当でしたし、私は、弁護士会の役員をしていた年は調停委員をお休みしていいた時もあり、家事調停協会の役員をしていた時代は常時10件内外の事件を担当していたこともあります。

一般調停委員の方々は、調停事件だけをお仕事とされていることが多いので、毎日のように期日が入り、1日の内で午前・午後に期日を入れる方もありますので、多くの事件処理の実績を残されることになります。弁護士調停委員は、調停委員事件以外に自分の受任事件を処理して自分の事務所を維持し、生活を維持しなければなりませんので、その処理できる件数は限られます。

各調停事件の期日は1か月に1度の頻度で期日が入りますので、4件担当すると、週1回午前か午後に2時間の時間(このほかに準備・裁判官との評議・調書の作成の時間を入れればもう少し多くなりますし、新件の配点があれば記録の全部を読んで必要なメモを取らなければなりません)を割かなければならなくなります。

弁護士の場合は、自分の弁護士業務とのかね合いを考えると、私は常時6件(週1,2回の期日出頭)が適度、12件が限界と考えていました。民事調停は1回の期日が1時間とされていますが、家事調停は2時間の予定がされます。

(続く)

目次 :
 |

家事調停委員を終えて

投稿日: 2018/6/8

 私は、本年3月末日をもって東京家事調停委員(本庁)を退任しました。満70歳での定年退任です。特段、「定年です」と裁判所から言われることなく、次年度の再任がないだけのことですので、自分の中だけで了解していたことです。

 退任の半年前である昨年の秋頃からは新規事件担当の依頼(配点)がなくなりますから、退任時期が近いことには当然気が付きますし、着地に向けて手持ち事件の終了に心を配るようになります。未解決の事件を残すと、事件途中から別の調停委員の方に引き継いでいただきことになり、当事者の方々にもご迷惑をかけることになるからです。弁護士調停委員は、担当する事件のほとんどが相続関係事件(遺産分割、遺留分減殺事件等)ですので、調停が長期にわたることが通常です。私の場合には、結局、2件を未解決として退任を余儀なくされました。

 私が、家事調停委員の任命を受けたのは平成6年のことですので、都合、24年間にわたる仕事であったことになります。逆算すると、私が46歳の時のことだったのです。家事調停委員は満40歳以上が要件ですが、一般調停委員の場合はともかく、当時は弁護士調停員の場合は、満年齢の要件よりは、弁護士経験(法曹経験)何年という要件が重要であったように記憶しています。

 当時の家庭裁判所の庁舎は、現在の庁舎から見て南隣のブロックの厚労省の建物の先の日比谷公園西幸門前交差点の角にありました。建物だけはいまだに残されており、地図で見ると中央合同庁舎5号館別館と表示されています。ここは、私が40年ほど前に司法修習生として家裁修習をしたところで、狭い中庭をロの字に囲んだ変わったビルです。

 建設設計のコンセプトとして、すべての調停室に窓を設けて開放的なイメージを目指した、などと説明を受けた記憶があります。狭い中庭には、現在の家裁庁舎の1階フロアーに設置された母親が幼児を抱いたブロンズ像がありました。戦後の新憲法の下で新しく発足した民法親族・相続編、そしてこの新しい法律を具現するために創られた家庭裁判所、その新庁舎建築こめられた当時の裁判所の新しい社会創造への心意気の一端がうかがえます。

 因みに、私が新人調停委員となったときは、この旧庁舎で研修を受けました。                                     (続く)

目次 :
 |

2017年 年頭のご挨拶

投稿日: 2017/1/6

林 史雄 弁護士より

 事務所は、昨年、新たに1名の若い弁護士を加えて4人体制となりました。アメリカに留学していた伊藤崇弁護士が帰国し、海外留学で得た経験や知識を生かすため、東京弁護士会の公設事務所である「東京パブリック」へ2年任期で出向しました。わが事務所は、各人が、協力しながらいろいろな事件の処理に当たっています。
 体力の減退を「加齢が原因です」と諦めを強要されながら、私の信条である「誠実に、そして丁寧な事件処理をすること」を次の世代に伝えるべく、今年も、若い弁護士たちと一緒に弁護士業務をしてゆきます。
 皆様のご多幸をお祈り申し上げます。

有坂 秀樹 弁護士より

 昨年は、税務・登記等につき他士業の先生方にお世話になりながら離婚・相続・後見業務・労働・企業法務等について研鑽を深めつつ依頼者のお役に立つことができました。
 また弁護士が増え、事務所内でも事件の共同受任や勉強会を通じて弁護士同士連携し・互いに研鑽を深めることができた一年となりました。
 皆様のご指導とご愛顧に感謝しつつ、今後も研鑽と経営努力を重ねていきたいと思います。

石井 美和 弁護士より

 新年あけましておめでとうございます。
 今年は世界情勢が大きく変わる可能性があり、日本人の生活も少なからず影響を受けることが予想されます。そんなときこそ、浮足立つことなく、毎日の生活を丁寧に送っていくことが必要なのではないか、と思います。
 今年も、ご依頼者の皆様と一緒に考え、行動し、少しでもお役にたてるよう尽力してまいります。
 今年もどうぞよろしくお願いします。

菊地 信吾 弁護士より

 当事務所に移籍し8か月が経ちました。年頭にあたり、改めて、お一人お一人の依頼者の皆様との話し合いと事件を通じて知り合う方々との人としてのつながりを大切にしつつ業務にあたりたいと決意を新たにいたしました。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

目次 :
 |

投稿日: 2014/4/1

突然ながら、今年の夏より1年間、ニューヨーク大学のUS-Asia Law Instituteという研究機関で、日弁連派遣の研究員として製造物責任法を研究させて頂くことになりました。そのため、本日をもって弁護士業務は一旦休止し、以後はしばらく研究に専念させて頂きます。

人様のご縁で製造物責任訴訟に関わり続けておりますが、製品が国境を問わず流通する中で、国内法のみの枠組みで製造物責任を扱うことの限界を感じるようになりました。周りを見渡しても国内での議論は進んでおらず、それならいっそ自分が研究してしまえ、ということで自分なりに準備を進めていたところ、この度、大学側より正式に招待を頂いたという次第になります。

以前にも弁護士過疎地への赴任のために東京を離れたことがありましたが、その時と比べて、考えなければならないこと、整理しなければならないことの何と多いことか。それだけ責任を与えて頂いていたことに、改めてありがたさを実感しています。
期待も不安も山ほどありますが、何よりも、自分で選択することができる今この時に感謝しつつ、これから研究に励んでいきたいと思います。

今後とも宜しくお願い申し上げます。

目次 :
 |

ページトップへ