事務所便り

製造物責任を考える

投稿日: 2013/2/24

 昨日、今日と、製造物責任分野で動いていました。

2月22日は消費者安全調査会の傍聴に行ってきました。
昨年10月に発足した事故原因究明機関ですが、予算も人員も限られ、審理も非公開で、これまでの活動がいまいちよく分かりませんでした。それが、最初の20分だけ傍聴が可能になるということで、早速行ってみたということです。
しかし、やっぱり、最初の総論的な20分ではなんとも分かりません。引き続きの情報公開に期待というところでしょうか。
事故原因究明機関が設置される前の検討会の議論も傍聴していましたが、刑事手続との関係、中立性確保、活動規模、成果の活用などなど、重要課題が整理解消されたという印象はなく、これが今後の展開でどのように具体化されるのか、非常に興味深いところです。

続いて、2月23日は「東アジア製造物責任法の現状と課題」という題の研究会で、台湾・韓国の先生のお話を聞いてきました。
韓国では、立証責任が壁となって消費者保護目的が果たせていないということで、法改正の予定があるとのことです。日本も同じ状況ですが、日本は法改正というよりも、裁判官が時おり大胆な事実認定をすることで、かろうじて対応しているというところでしょうか。
台湾では、PL法という法律はなく、消費者保護法と民法の中にPL法相応の規定があるそうです。ただ、消費者保護法には無過失責任規定が、民法には因果関係の推定規定があるところ、この相互の関係が未整理のままであり、個々の事案ごとにどちらかが(あるいはどちらとも)主張・適用される状況であるようで、それ故にやはりPL分野はPL法として独立させようという意見もあるそうです。
因果関係の推定というのは相当に強力な条文であり、なぜそれが消費者保護法ではなく一般法にあるのかという疑問があったのですが、法改正の先後関係でそのようになったとのことでした。
懲罰的損害賠償制度も民法レベルで導入されているとのことであり、消費者保護の見地からは、とても興味深い法世界があるようです。

結果が全ての実務に身をおくなかで、精緻な議論をすっかり忘れていましたが、久しぶりにアカデミックな世界に触れ、頭が洗われる思いがしました。
製造物責任法は製品安全を守る中心的な法律ではありますが、証拠の偏在によってその実際の運用には厳しいものがあります。また、長期使用による経年劣化への対応、製品流通先の把握の困難などなど、出荷時の安全を確保するだけでは消費者安全が守られない状況でもあり、製品安全制度全体をどのように構築するのか、まだまだ課題山積です。

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